東恩納寛惇文庫
東恩納寛惇(1882~1963年、那覇市東町出身、元東京都立大学・拓殖大学教授)の旧蔵書を所蔵する。当時の琉球政府および那覇市の補助で、現在の県立図書館北西隅の敷地に1963年7月9日に財団法人東恩納文庫として創立開館した。建物は、鉄筋コンクリート平屋約40坪。
沖縄戦で県立沖縄図書館・尚家をはじめ官庁・旧家の史料が大方焼失・散逸した中で、半世紀余りをかけて収集された東恩納寛惇の蔵書が注目を集めたのは1951年頃からであった。東恩納文庫を沖縄に開設し、同時に氏が後進の指導に当たるということであったが、開館を目前にして氏は東京で永眠された。
財団法人束恩納文庫は、運営費の行き詰まりのため解散し、建物・蔵書とも1964年12月30日正式に琉球政府に移管され、政府立中央図書館の管轄になった。復帰後は、県立図書館に継承され、郷土資料室も併設されたが、1982年新館建設のため取り壊され、蔵書は図書館内の特殊文庫として活用されている。
蔵書は、総数3,384点であるが、その半数近くが沖縄関係資料である。その概要は、歴代の冊封使録類、中・近世の外交・貿易文書の『歴代宝案』第1集の原本影印本・写本、六諭衍義の各種本約140冊、地図・絵図類、碑文の拓本類、書跡類などである。なお、旧蔵者の著作は『東恩納寛惇全集』(第一書房)として刊行されている。
所蔵資料の一部
『首里古地図』 1910年(明治43)模写(原図1703~1707年)
左『薩摩藩調整図』18世紀中頃/右『唐船図(進貢船の図)』製作年代不詳
『琉球国志略 首巻』周煌 著/1832年(天保3)