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中外経緯伝 第5 ( 史籍集覧 )
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伴 信友/編 -- 近藤活版所 -- 1882(明治15).6 --
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所蔵館
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状態
デジタル書庫リンク
県立
★5F特別収蔵庫
SK/200.8/B17/5
1001983251
特殊文庫
閲覧注意
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概要・解説
〈資料の著者〉
○伴信友(ばん・のぶとも1773〜1846)は江戸時代後期の国学者。若狭小浜藩(わかさ・おばまはん 現在の福井県小浜市)の藩士の子として生まれた。国学(※1)と兵法を学び、江戸や京都で活躍した。
○信友は、国学の大家である本居宣長(もとおり・のりなが 1730~1801)に強い影響を受けた。その関心領域は古代アジアから同時代日本・アジアの政治・社会・文化まで多岐に渡る。文献資料の内容の詳細な調査・考察(≒書誌学)の手法で定評がある。信友の琉球への関心は、本居宣長同様に影響を与えた新井白石(あらい・はくせき)の影響も大きいとみられる(※2)。
〈資料の内容〉
○「中外」とは日本の内外の意味。経緯はものごとの事情・歴史などの意味であり、題名は「日本の歴史や文化を国際的な視点に立って、なるべく多くの参考文献を駆使して明らかにし、後代へ伝えよう」という意味が現れている。当時の国学に通有のナショナリズムの構えが基本的にあるが、多くの同系統の書籍と比較して、「史実をできるだけ客観的に確定させていこう」という学究的(書誌学的)態度がつよいといえる。
○1838年(天保9年)に成立したとされる(※3)。
○全6巻の内容は、第1〜3巻が本文編であり、日本と中国・朝鮮半島、琉球諸島の交流の歴史を記述している。第4〜6巻は資料編であり、慶長文禄(ぶんろく・けいちょう)の役(えき)(※4)の関連資料(文書・手紙類)を数多く収録している。これらの関連資料は信友自身が資料を集成・編集した史料集『征戎遺文(せいじゅういぶん)』からの抜粋したものが基本となっているようである。また、第6巻の末尾には『征琉球遺文』と題して、慶長文禄の役の流れで起こった1609年の薩摩による琉球侵攻について略記した資料が付されている。
○第5巻は本資料においては第6巻と合わせて一冊に合綴(がってつ)されている。第5巻は、第4巻・第6巻と同様に、信友が自分で作成した史料集『征戎遺文(せいじゅういぶん)』の抜き書きをまとめている。第5巻は「征戎遺文類第二」として、第4巻に続いて「文禄・慶長の役」開戦の翌年である文禄2(1593)年の関連資料を収録している。
〇第6巻は第4〜5巻と同様に信友が自分で作成した史料集『征戎遺文(せいじゅういぶん)』の抜き書きをまとめている。第6巻は「征戎遺文類第三」として、文禄の役が終了した後の文禄三〕(1594)年の史料と、慶長の役が行われた慶長二(1597)〜慶長三(1598)年の史料が収録されている。また末尾には付記として『征琉球遺文』を掲載している。これは薩摩による琉球侵攻の行われた慶長14(1609)年から慶長16(1611)年の歴史が史料と共に略述されている。
○琉球の歴史・文化を詳しく述べた研究書は江戸時代、1719年の新井白石『南島志』以降、数多くあるが、本書は引用している書籍の質・量において圧倒的であり、またその内容の調査・考察についても非常に詳しいという特色を持つ。他方で『南島志』のように琉球の文人らと直接会って聞いた話を記述していくというようなダイナミックさには欠ける。
○後代へ及ぼした影響も少なくないとみられるが、現在、本書自体が詳しく読まれたり研究対象とされていることは、それほどみられない。
※1 国学とは、歴史書(日本書紀や古事記など)や古典文学(源氏物語、古今和歌集など)の研究を通して「日本の歴史・文化の特質を見極めよう」とした学問で、江戸時代の中心的な学問の一つだった。国学の成果は明治日本の歴史観や文化観を準備した。
※2 新井白石は、江戸時代の本格的な琉球研究である『南島志』(1719年成立)を著したことでも知られ、信友も本資料の中で何度も引用している。琉球について詳しく述べている第3巻の冒頭でも「琉球国のことは早くから新井白石が『南島志』で詳しく書かれている」ということが述べられている。
※3 論拠が確認できない。『沖縄大百科事典』の「中外経緯伝」の項にそのように記述がある。宮内庁書陵部に信友自筆の原本がある〔『新日本古典総合目録』参照。宮内庁HPでは画像や翻刻は公開していない〕ので、そこに記述されるものとみられる。)
※4 1592〜1598年の秀吉による朝鮮半島侵攻のこと。朝鮮半島側では「壬申・丁酉倭乱(じんしん・ていゆう・わらん)」と呼ぶ。
(鶴田大)
詳細・解説
〈書誌情報その他〉
○本資料『中外経緯伝』(全6巻)は明治期に刊行された「史籍集覧」の一部である。全6巻だが、第5巻と第6巻が合わさって一冊に合綴(がってつ)されていることから全5冊となっている。
〇史料集覧は岡崎藩(現在の愛知県岡崎市)の儒学者・近藤瓶城が明治14(1881)年から編集・刊行を進めた史料全集。江戸時代までに成立した重要とみられる史料を次々と刊行した。基本的には先行の出版企画である『群書類従』(1786〜1819年刊。続編は1911年刊)に漏れた史料の収集・刊行事業であった。本資料は「史籍集覧」の一つとして1882(明治15)年に刊行された。
○『中外経緯伝』の著者は伴信友。成立年は1838年(天保9年)とされる。
○信友自筆本を書写したとされる『中外経緯伝草稿』全6巻が国書刊行会より明治40(1907)年に活字化され、『伴信友全集』第3巻に収録されるという形で刊行されている。内容的には「史籍集覧」本と殆ど同じである。〔※活字化に際して生じる句読点やふりがなの相違などが若干みられる。〕「史籍集覧」本は、末尾の識語によると伴信友自筆本を写した大澤清臣所蔵本を底本としたとのことであるが、『伴信友全集』第3巻所収本は本の冒頭に付された例言によると、黒川氏蔵写本を底本としたとある。しかし「史籍集覧」本も、『伴信友全集』第3巻所収本も共に、「伴信友自筆本を筆写した」という平種□(草冠+公+木)の次の識語がある。
「中外経緯伝正篇三巻遺文類三巻。合六巻。故源信友老人所編述也。借得原本債人令書写自遂一校了。但第一第三之巻等手所写也。 嘉永元戊申年九月十三日夜全部校了 平種□(草冠+公+木)」
このため内容に相違が見当たらないのであろう。
「史籍集覧」本には、史籍集覧の編者である近藤の次の識語が加えられているが、この識語は『伴信友全集』第3巻所収本にはみえない。
「此書大澤清臣氏所蔵ノ本二就テ著録シ校合一過了。大澤氏蔵本ハ伴氏原本ヲ以テ校合訂正セシモノナリ 明治十五年五月 近藤瓶城 記」
○本資料の表紙裏(見返し)には旧蔵者の比嘉春潮が記したとみられるメモがある。第三巻の琉球使節についての本文内容から「中外経緯伝」の成立年代を推定しているもので、天保3(1832)年〜天保14(1843)の成立とみている。メモの内容は次の通り。
「巻三 三十八ウに天保三(一八三二)の恩謝使のことあり。この為、天保十三(一八四三)入貢までの間の著作ならん。」
江戸時代には、徳川将軍と琉球国王の代替わりの際に、琉球使節が外交団として江戸往来していた。琉球使節は天保三年(1832)には国王尚育の即位の挨拶のために、また天保十四年(1843)には将軍・徳川家慶即位の祝いのために江戸へおもむいている。春潮が本資料を調査していた当時は、本資料の成立年代は知られていなかったとみられるが、原本(宮内庁書陵部蔵)の識語に記されていると思われる成立年代=天保9(1838)年をみごとに捉えている。
(鶴田大)
参考文献・調査
・『伴信友全集』第3巻(『中外経緯伝草稿』全6巻を収録。ぺりかん社 1977年刊)
※明治40年刊行の『伴信友全集』(国書刊行会・刊)の復刻版。本資料と同じく伴信友自筆草稿本を祖本とした写本により翻刻している。本文内容は本資料とほぼ同じ。
・『沖縄大百科事典』(沖縄タイムス社 1983年刊)※項目「中外経緯伝」
・『日本古典文学大辞典』(岩波書店 1984年)※項目「伴信友」
・『平田篤胤 伴信友 大國隆正』(「日本思想体系50」岩波書店 1973年刊)※伴信友の主著の一つである『長等の山風(ながらのやまかぜ)』を翻刻している。同時に解題として「伴信友の学問と『長等の山風』」(佐伯有清・関晃)が掲載されており、伴信友の思想や研究手法について詳述されている。『中外経緯伝』冒頭部分を伴信友の基本的な思想・研究の姿勢を言い表したものとして掲載している。
・『比嘉春潮全集』第3巻(沖縄タイムス社 1971年刊)※本資料の旧蔵者・比嘉春潮は論考「沖縄民俗研究」(全集3 に収録)のなかで、江戸時代日本における琉球沖縄の民俗研究書の一つとして「中外経緯伝」を挙げている。天保三年の琉球使節に触発されて刊行された「琉球もの」の一つと位置づけている。
・『新日本古典総合目録』(国文学資料館HPのデータベース) ※項目「中外経緯伝」
(鶴田大)
資料詳細
タイトル
中外経緯伝 第5
叢書名
史籍集覧
著者
伴 信友
/編
出版者
近藤活版所
出版年
1882(明治15).6
ページ数
[82]丁
大きさ
19cm
累積注記
木板本 観奕堂蔵
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